Denis Mortet

 

故ドニ・モルテは、 父シャルル・モルテから1991年にワイナリーを受け継いだ。ワイン造りはアンリ・ジャイエからも教わり、厳しい選果、キャノピーマネージメントなどを行い、48時間にも及ぶ低温マセラシオン、ほとんどが新樽100%であり、澱とともにゆっくりと樽熟成を行うスタイルだった。

 

ロバート・パーカーからは、「ジュヴレ・シャンベルタンのスター」と絶賛され「クラスマン」では、DRC、ルロワと並び、ブルゴーニュの三つ星生産者として名を連ねた。ドニ・モルテの重厚感があり華やかでゴージャスなワインは、もはや伝説の域に達している。

 

 

しかし才能ゆえの苦悩からか、20061月自らの命を断ち、その生涯の幕を下ろした。その早すぎた死には、誰もが衝撃を受けた。

 

今日、ドメーヌを運営するのは故ドニ・モルテの長男アルノー・モルテ。2006年、24歳の若さでこの名高いドメーヌの運営を任されることとなった彼は専門学校を中退し、メオ・カミュゼとドメーヌ・ルフレーヴという名ドメーヌで研鑽を積む。

今日、11.2haの畑はきわめてビオロジックに近く、化学肥料、殺虫剤、除草剤には頼らない栽培がとられている。父の時代のドメーヌのワインは、いかにもジュヴレ・シャンベルタンらしい、強い抽出と凝縮感をもつワインだったが、アルノーは、父の造るワインに抽出が強過ぎるのではないかという疑問を抱き、2000年にそれを訴えて以降、ピジャージュの頻度を減らすようになったという。

 

醸造法は、原則として完全除梗(暑い年は半分くらい全房を使用することもある)のうえ、低温マセレーション。発酵容器はコンクリートタンクを使用している。11回のルモンタージュと23回のピジャージュ。新樽率も父の時代と変わり、以前はほぼ100%新樽熟成だったが、現在は村名ジュヴレ・シャンベルタンで6070%まで下げている。アルノーの時代になり、ワインは力強さと同時にフィネスやエレガンスを備えたものとなり、口当たりはまろやかに、喉越しはスムーズに変化している。また、アルノーはマルサネやフィサンなどコート・ド・ニュイ北部のアペラシオンに関心を寄せ、この地域の畑を増やしている。

アルノー・モルテの名前で出しているワインは、借地による銘柄であるが、栽培から醸造まで行っているドメーヌものである。